墨跡の絵は、墨汁を薄めに溶き、幅広のブラシで一気に無作為にケント紙にイメージを描き、乾くと思いもしなかった墨あとが現れてくれます。
色鉛筆で墨あとからのイメージに色を加え、形を鮮明にしていきます。色鉛筆の独特の透明感を持った色により、墨あとのイメージを損なうことなく、色を重ねていくことで、深みと特徴のある色彩を得ることが出来ます。
赤であってもオレンジから紫に近いほどの「赤」まで約20色ほどの色を重ねていきます。芯の柔らかいものから硬いものまで塗る部分によって使い分けます。そうしながら全体を「絵」として構成していきます。
制作中、物語性や社会的なメッセージなどを加えていき、途中でスタートとは全く異なるものが見えてくることが度々あります。私はそういう時、迷わずペン先、筆先に新しい展開を委ねます。場合によっては、スタート時点とは、全く違った作品が完成することもあります。手法としてはシュールレアリスムのデカルコマニーの手法に近いと思います。無意識・偶然からの創作ではありますが、すべての作品に作者の思いが色濃く反映します。
最後に不透明のアクリル絵の具で絵にメリハリをつけ、印象的に配置した「金色」は、文字通り「GOLD」であり、私たちの欲や煩悩、経済・社会の象徴としてほとんどの作品に登場します。